かべすのおしゃべり

歌舞伎を観たり歌舞伎の本を読んだり歌舞伎のこと考えたりのあれこれを書き残しておきたいなと思いました。

「九代目團十郎」渡辺保

久々だった團菊祭も昨日無事に千穐楽を迎え、自分も実際に舞台を観たり、いろいろな方々の劇評や感想を読んだりして、今月一月大いに楽しみました。

加えて、團菊祭に因んでということで、九代目や五代目六代目についての本などもあれこれ読み返したりしていて、そのうちの一冊として当然、渡辺保さんの「九代目團十郎」もあらためて読み直してました。

初読の時は、九代目の人となりや芸がどのようだったかを把握したくて、そこだけにフォーカスして読み進めちゃったのですが、今回あらためて読み直すにあたっては、九代目のことはある程度わかっているものとして、その他の記載に目配りしながら読めました。

今作、九代目の演目ごとに当時の新聞評を集め比較することで、九代目の芸がどのようだったかを浮き上がらせる構成となっていて、三木竹二、青々園、岡鬼太郎杉贋阿弥などなどの評が引かれています。

この数年の間でそれぞれの人の著作も読んだりしていたので、同じ九代目の同じ舞台を観てそれぞれの人が何を言っているか〜同じところを褒めていたり、違うポイントに着目していたり〜を読み比べられるのが楽しかったです。

加えて、九代目の芸や当時の舞台の様子を浮かび上がらせるために、それぞれの劇評のどんな部分を渡辺保さんがセレクトしたのかも面白かったです。

劇評のどういった記載が引かれているかを、ざっくり分類してみると、こんな感じでしょうか。

①記録
・型
・骨法
・台詞回し
・衣装とこしらえ
・舞台装置
②記憶
・同じ演目の昔の舞台について
・他の役者が演じた同じ演目、同じ役について
③批評、評価
・①についての批評、評価
・②と比較しての批評、評価
④感想

たまに、昔観劇した際の自分のノートやメモを見返したりすると、「すごく良かった!」とか「カッコ良かった!!」みたいなことしか書いてなくて、何が良かったのか、何がどうカッコ良かったのかなどなど、全く思い出せなくて「えーと。。。」ってなったりするんですけど、そっか〜、①〜③をちゃんと書き残してないからなんだなぁと、反省方々そう思いました。

#歌舞伎 #團菊祭 #九代目團十郎 #渡辺保